「武士の一分」の感想

(06年11月鑑賞)
「さすが山田さん。面白いです。どんな作品もある程度のレベルに必ず仕上げてくる。主演の木村さんは時代劇の演技や殺陣はまだまだだけど胴長短足なので和装が合うのが良い!。」監督:山田洋次。出演:木村拓哉、檀れい、桃井かおり、坂東三津五郎、笹野高史、小林稔侍、ほか。

試写会に行って来ました。時代劇映画なのに若い女性の多さにびっくり。これが主演の木村さんの威力なんですね。改めてスゴイなぁ、と思いました。清兵衛なんて中年以上のおっちゃんばっかりしか居なかったのに。
ちなみにこの作品が今年の劇場観賞映画の丁度170作品目となりました。

「武士の一分」は「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く山田監督第3弾の藤沢周平モノです。原作は「隠し剣秋風抄」収録の『盲目剣谺返し』。藤沢ファンとしては楽しみで仕方ありませんでした。なにせ昨年期待して観に行った黒土監督の「蝉しぐれ」がヒドイ有り様だったもんですから。そりゃもう「あー、山田監督の藤沢カンバーーック。たそがれ清兵衛の感動よ、ふたたびっっ!」って気持ちが大いに膨れていたような次第です。

で、武士の一分ですが、結論を申し上げますととても面白かったです。しかし、期待が大き過ぎたせいかそこまで大傑作とは感じませんでした。ま、「たそがれ〜」や「鬼の爪」なんかがあまりにレベルが高過ぎるだけでそれらと比べたら酷ってもんですよね。そんなに簡単にあそこまでの作品が出来ちゃ困ります。あくまでそれらと比べたら、ってだけで本当、良い作品だったと思います。2時間1分がアッと言う間だったし。

新之丞(木村拓哉)は剣の達人ですが下級武士なので藩主の毒味役などと言う閑職に回されています。やりがいの無さを嘆きながらも将来道場を開く夢を語りつつ、美しく気立ての良い妻加世(檀れい)と毎日を平和に送っていました。しかしある日、勤め中に貝の毒にあたって生死の境をさまよいます。そしてどうにか一命はとりとめたものの新之丞は失明します。さて、失明した新之丞はその後どうなっていくのか・・・。そんな物語です。

前半をしっかり使って夫婦の仲睦まじさを充分に表現しているため、その後に起きる事件は結構ショッキングです。果たし合いに至る動機も充分。ストーリーとしては満点です。ただ欲を言えば二人の免許皆伝の剣の達人をもっとちゃんと達人に見せて欲しかった!。そこがもうちょっと強烈に表現されてたら物語はさらに盛り上がったのに。そう思うとちょっと惜しい気がします。
「たそがれ清兵衛」における清兵衛(真田広之)と余吾(田中泯)の殺陣はとんでもなく鬼気迫る物があり、そりゃあもう凄まじかった。あれで作品がさらに一段上のレベルに昇華しました。「武士の一分」の殺陣もあのくらいのレベルがあったなら!。
うーん。そこまではさすがに難しいか。

木村さんの演技はところどころ現代劇っぽさの抜けないところがあって時々ハラハラしました。藤沢作品にお馴染の海坂藩は山形なんですけど、方言がイマイチでした。それでも頑張っていたと思います。ただ殺陣は正直まだまだだと思いました。しかし姿かたちがそれを充分補っておりました。彼は胴長短足なので和装がとっても似合うんです。まさに時代劇向き。それは大変な強みだと思います。手足が長くてスタイルの良い人が時代劇をすると演技がいくら良くても和装が似合わなくてちょっと残念な感じになるのです。その点、木村さんはバッチリでした。
あの時代の美男子という役柄にも良く合っていたんではないでしょうか。どっちかと言うとのっぺり系で。
妻役の檀れいさんは初めてお目にかかりましたが宝塚出身の方だったのですね。キレイな方でした。
あと笹野高史さん大活躍!。好きな役者さんなんで嬉しかったです。今年観た映画にも意外とあちこち出てました「地下鉄に乗って」とか「アダン」とか「釣りバカ」とか。あ、釣りバカはレギュラーか。一応(笑)。

それにしても、さすが山田監督。どんな作品でもある程度のレベルには必ず仕上げてきます。今回こそ平均点ではあったけれど大ハズレがないってのはスゴイ事です。

たそがれ清兵衛のような大傑作でなくて良いから間隔を空けずにこのくらいのレベルの藤沢作品を毎年やってくれたら嬉しいのになぁ、なんて藤沢ファンは思ってみたり。
ほら、寅さんや釣りバカみたく。


ちなみにウチの本棚↓

このあたりがぜ〜んぶ藤沢周平です。この奥にもあるから結構な量に。「武士の一分」の原作が入ってる「隠し剣秋風抄」を探したけど見つからなかった(T▽T)。どこにいったんだろう。きっと奥のほうのどっかだな・・・・。いや、誰かに貸したまんまかもしれん。


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投稿者: hassei 日時: 2006年11月14日(火) 23:31

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記事「「武士の一分」の感想」へのコメント▼

おはようございます。はじめまして。
胴長短足の咲太郎と申します。
和服の似合う人って実は
胴長短足なんですね。
私も着物や浴衣がよく似合うって言われるんですよ。
そうだったのかあ・・・。

この作品とても楽しめました。
前二作、とってもお好きなんですね。
私は未見ですので
この機会に見てみますね。
ではでは。

投稿者 咲太郎 | 2006年12月06日(水) 09:58

咲太郎さん、こんにちは。
TB&コメントありがとうございますm(__)m
つまり和服は日本人体形が似合うんですよねえ。女性もグラマーな方よりもずんどう系の方のほうが似合う(笑)。
これで木村さんに時代劇の所作が身に付くと時代劇のスターでもやっていけるんじゃないかしら、と思いました。時代劇的殺陣の動きはまだまだだと思いましたが、なんだか剣道と言うかスポーツ的な動きはなかなかの物だと感じました。だからきっと時代劇に本腰を入れたら殺陣の上達も早いのではないでしょうか。
今後に期待です!

投稿者 発生 | 2006年12月06日(水) 17:42

発生さん、こんにちは☆
夫婦の絆に素直に共感できる映画でした。

藤沢作品をたくさん読まれているんですね~
私も、3部作と言わず寅さん並みに続けてくれたらいいのになぁ!
と思いました!

投稿者 kenko | 2006年12月08日(金) 14:52

kenkoさん、こんにちは!
TB&コメントありがとうございます〜〜♪

藤沢周平さん大好きなんですよー。そして山田洋次監督も!。だからこの三部作では大いに楽しませて頂きました。どれもかなり山田色の強い作りとなっていますが、それでいて藤沢さんの味も殺してない。本当に絶妙でした。
またいつか再度山田監督が藤沢作品を取り上げてくれる日を心待ちにしています。
あ、でも他の人でもっと藤沢藤沢した藤沢映画も観て見たいかなー(笑)。

それにしても本当に夫婦の絆が素敵な作品でした。
タイトルからして「武士の一分」だから、これだけは譲れない物を表しているワケですけど、相反するような「譲ること、許す事の大切さ」も同時に説いているところがスゴイですよね。

投稿者 発生 | 2006年12月09日(土) 01:12

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